ストレス耐性にも様々な種類がある
ストレス耐性というものは必ずしも一括りにできるものではなく、
以下のように細分化される多義的な言葉だと考えられます。
鈍感力:ストレス自体を感じにくい
他責思考:すべての原因を自分に抱え込むことがないために、自責思考の人よりもストレスを感じにくい
曖昧力:はっきりしていないこと、先が見えないことが気にならないために、ストレスを感じにくい
意味付け力:ルーティンワークのような仕事であってもやる意味を見出せるため、ストレスを感じにくい
楽観性:何事も前向きに捉えられるため、ストレスを溜め込みづらい
切り替え力:オンオフの切り替えが上手いため、ストレスを溜め込みづらい
忘れてはいけないのは、仕事の特性により、
強みとなるストレス耐性の種類は異なるということです。
例えば、気配りや敏感力が求められる仕事において、
鈍感力のある人はメンタルヘルスに不調こそきたさないかもしれませんが、
適性がある人材だとは言えないのです。
面接でストレス耐性を見極めるためのポイント
上記の傾向を踏まえ、面接で候補者を見極める前には、
自社・あるいは募集職種で求められるストレス耐性が
どのようなものなのかを明確にし、定義づけておくことが大切です。
その上で、面接では候補者が
「どのような環境下で」「具体的に何を感じたか・行ったのか」を
具体的に掘り下げるよう意識しましょう。
例えば「“厳しい”上司がいて大変な思いをしましたが、それを乗り越えてきました」と候補者が答えたとします。
この際、面接官はつい自身の想像の範囲内の「厳しい上司」をイメージしがちですが、
厳しさにも様々なパターンがあります。
物事に非常に細かいタイプなのか、口調が強いタイプなのか。
それとも、いい上司ではあるものの、高すぎる期待を寄せるタイプで、
そのプレッシャーに打ち勝ってきたことを「乗り越えた」と候補者が捉えているのか。
ストレスとは「環境に対する反応」ですから、
こうした具体的なシーンまで詳細に聞くことで、
候補者が発揮したストレス耐性の種類を理解することができるでしょう。
ストレス耐性チェックにおいて気をつけるべきポイント
一点留意したいのは、いくら自社の理想とする「ストレス耐性が高い人」であっても、
同じようなタイプの候補者ばかりを採用するのは必ずしも良いことではない、
ということです。
同質化が進んだ組織は、ある環境下では強さを発揮しますが、
環境に変化が起こると途端に崩壊するおそれがあります。
一定の割合で、「ストレス耐性が高くはない」と
判断された層も採用しておくことで、
組織が変化に対応する能力を持ち続けられるのです。
また、そもそも全方向に対してストレス耐性が高い人材は、
ニーズが高く希少な存在です。労働人口が減少する昨今、
「ストレス耐性が高い人しか活躍できないはずである」と決め込んでしまうと、
採用が進まなくなるおそれがあります。
今後、目指すべきはストレス耐性が高い人を揃えることではなく、
むしろ多少のストレスがあっても働き続けられる仕事環境の整備や
アサーション(自分の意見を適切に伝えるための)トレーニング
といった工夫を会社側が行うことだといえるでしょう。
面接時にストレス耐性チェックをすることばかりに力を注ぐのではなく、
ストレス耐性の低い人が活躍できる環境を作ることこそが、
これからの企業に求められるものではないでしょうか。